千葉 直紀

DE実践のヒントが詰まった評価者向けのガイドブック。実践がはじめての人にも理解しやすく、有用な内容が詰まっている。

『A Practitioner’s Guide to Developmental Evaluation』(DE実践者ガイド)
著者:Elizabeth Dozois, Marc Langlois, Natasha Blanchet-Cohen
発行元:The J.W. McConnellFamily Foundation and the International Institute for Child Rights and Development(2010年)

▼日本語版PDFあり▼
DE_Practitioner’s Guide 和文_ver.1

▼英語版PDF▼
https://mcconnellfoundation.ca/wp-content/uploads/2017/07/DE-201-EN.pdf

*本冊子は、2017年7月にCSOネットワークがThe J.W. McConnell Family Foundationに訪問して、日本における展開(和訳および公開)の許可を得ている。

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 本書はDE(発展的評価)に関連する書籍等の中でも、比較的読みやすく、実践のイメージがしやすいものだ。筆者も、はじめにこれを読んだときは、DE提唱者であるマイケル・パットン氏の著書よりも簡潔にまとめられているためわかりやすく、理解しやすいと感じた。

 特に、本書で示される3つの起点(エントリーポイント)と4つのコアとなる実践は、DEを行う上で非常に有用だ。

 発行元のマッコーネル財団(The J. W. McConnell Family Foundation)によると、本書は、DEに伴う重要な実践内容をいくつか明確にすることで、先に発行された同財団の冊子『A Developmental Evaluation Primer』(DE入門書)に概説されたDEの諸概念を、実践者が運用できることを目指したものだそうだ。

 本書で紹介される実践方法は、カナダ全土における3年間にわたるケーススタディにDE評価者が参画した事例をもとに特定され、導き出された。対象となった数名のDE評価者は評価経験があったものの、大半がDE実践は初めてであった。彼らは自身のDE実践のプロセスや課題を記録し、DEの評価アプローチについて理解を促進するために学習コミュニティをつくり、考察を行った。

 その結果、特定された「DEを実施するための3つの起点(エントリーポイント)」と「DE評価者の仕事を特徴づける4つのコアとなる実践内容」が紹介されている。

 

DEの3つの起点(エントリーポイント)

1.状況の把握(Orienting yourself)

2.関係構築(Building relationships)

3.学習の枠組みの構築(Developing a learning framework)

 

4つのコアとなる実践内容

1.立ち位置を見定める(Orienting)

2.観察する(Watching)

3.読み解く(Sense-making)

4.介入する(Intervening)

 

 実践については、引き出し【現実世界を『3つの質問』で捉えよう】で示した『3つの質問』とも重なる内容だ。こちらもぜひ読んでいただきたい。