社会変革(システム・チェンジ)や複雑な状況にどう取り組むかーー。DEの基本を解説した世界初の(!?)英文の入門ガイド(日本語訳あり)
『A Developmental Evaluation Primer』(発展的評価入門書)
著者:Jamie A.A. Gamble
発行元:The J. W. McConnell Family Foundation(2008年)
▼下記URLで本書の全文が公開されている(英語版)
https://mcconnellfoundation.ca/wp-content/uploads/2017/07/A-Developmental-Evaluation-Primer-EN.pdf
▼日本語版はこちら▼
A Developmental Evaluation Primer_和文_ver.1
*本書は、2017年7月にCSOネットワークがThe J.W. McConnell Family Foundationを訪問して、日本における展開(和訳および公開)の許可を得ている。
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評価が困難とされる「社会変革」や、複雑な状況、成果が明確に定義されていない取り組みにどう向き合うか。そのようなDE(発展的評価)の特性をいろんな観点から解説した一冊。
DEの生みの親であるマイケル・パットン氏の指導の下、マッコーネル財団(The J. W. McConnell Family Foundation)のJamie Gamble(ジェイミー・ギャンブル)が書きまとめた。DEの潜在的ユーザーに概念を紹介し、その利用を支援するツールを提供している。
本書の誕生は、カナダにおける解決困難な社会問題に対処するため、マッコーネル財団、DuPont Canadaおよび PLAN Institute for Caring Citizenship の3機関が2005年から2年間にわたりおこなった共同研究がきっかけだった。社会変革を促進する方法を開発するための研究で、その一部として世界で初めてDE実践に対する調査が実施されたのだ。この3機関は、DEの可能性を大いに感じ、時には評価が困難とされる社会変革およびそのプロセスにかかわる手段と手順を追跡する手法として「DEが有効だ」と考えていたようである。DEはその後、大きく発展していくことになる。
しかし評価の分野において、DEは比較的新しい概念であり、資料が割合に少なかった。そのため、マッコーネル財団はDEの基本的考え方を示そうと、2008年に本書を出版した。本書では、DEの根幹となる要素を説明し、DE評価者に必要なスキルや能力を特定するとともに、この種の評価に伴う問題や課題にもいくつか言及するなど、DEの基礎的な内容を記している。
本書では、「多数の従来の評価方法が、助成金受給者がプログラムを実験、テスト、学習、必要な場合には修正する柔軟性を妨げる拘束具となっている」ことに対し、複雑な社会問題に対処するための革新的な方法としてDEを推奨している。
DEの歴史において、かなり初期(創成期)に発表された本書は、概念的な内容が多いものの、DEのイメージをつかむのに適しているだろう。