千葉 直紀

システム(対象者・事業を取り巻く環境、構成する要素、その関係性)を理解するには「システムマッピング」が有効だ。目的や状況に応じて柔軟に使いこなそう。

 DEはシステム思考と切っては切り離せない関係にある。システム思考のツール[1]のひとつとして、「システムマップ」を紹介したい。これはその名の通り、システム(対象者・事業を取り巻く環境、構成する要素、その関係性)を、描き出し、可視化し、理解するためのマップだ。それを行うことが「システムマッピング」である。

 システムマップを描くことによって、次のようなことを考えることができる。

  • 対象者の周囲にはどのような人々がいるか
  • 彼らはどのように動いているか、彼らの意図は何か
  • その問題がどのような関係性の中にあるか
  • いかなる社会の構造・力学により生まれているのか
  • なぜ解決できていないのか

 システムマップには様々な種類や使い方がある。状況や目的に応じて、いくつかのシステムマップを使い分けていけるようになると良いと思う。

代表的なシステムマップの作成手順を示す。

    1. まず、人(ステークホールダー)、組織、 モノなど、物理的に存在している主なものを書き出す。
    2. 次に、制度・プロセス・仕組み・視点・価値観・規範・リソース・課題意識・対立・合意事項・目的・希望・モチベーション、など自由に書き込む。
    3. 1、2であがった要素の関係性に着眼し、その様子を書き込む(例:強い影響力/弱い影響力、強化/バランス型、即決/ゆっくり、対立的/協力的、直接的/間接的など)。表現は自由。 

 以下は、参考までに、英国保健省が作成したシステムマップだ。肥満に関する要因を分析したものであるが、様々な要因が複雑に絡み合っていることがわかるだろう。この複雑さの理解なしに、効果的な問題解決はできないことを常に意識して欲しい。

 

[1]有名なシステム思考のツールとしては、この他に「因果ループ図」、「ストック・フロー図」、「時間軸分析」などがある。