DE実践の前に、対象の事業(および事業者)のReadiness(準備状態/評価可能性)を見極めることは非常に重要である。評価者は、はじめの段階で事業者にヒアリングを行いながら、これらの内容を確認してほしい。
物事には準備が肝要だ。準備が9割と言われる世界もある。評価の世界もまた然り。
社会的な取り組みを行う事業者としてDE(発展的評価)をおこなう(受け入れる)準備ができているか。
評価者の側からすると、DEをおこなおうとする際に対象の事業(および事業者)のReadiness(準備状態/評価可能性)を見極めることは非常に重要である。
なぜならば、事業実施主体である事業者こそがイノベーションの担い手であり、評価結果の活用主体だからである。事業者自身のReadiness(人的リソースや他の経営資源というハード面と、事業者の気持ちや考え方といったソフト面の両面)が整っていなかったり、事業を取り巻く外部環境がDEにふさわしい状態でなければ、DEを適用することは難しいかもしれない。
このReadinessを見るためのチェックリストは、DE研究者であるMark Cabaj(マーク・カバージ)氏が、“Developmental Evaluation Diagnostic Checklist”として紹介したものを、CSOネットワークが和訳したものである。
▼発展的評価(DE)評価可能性確認用チェックリスト▼
DE評価可能性確認用チェックリスト
以下に示すように、このチェックリストは大きく3つのステージから成り立っている。
ステージ1:発展的な状況 団体が事業を実施している文脈は「発展的」で、様々な創発にあわせ常に新しいアプローチを必要としているか、それとも、より「従来型」な文脈で既に確立している事業を安定的に運営すればいいか? →事業が置かれた状況をチェックすることが、はじめのポイントである。安定的な環境ではなく、発展的な環境、すなわち状況が目まぐるしく変化したり、物事が生成されている状況でこそDEのアプローチが活きるのだ。 |
ステージ2:適応するキャパシティ 団体の意思決定者は団体がソーシャル・イノベーションや複雑な状況において必要とされている「適応性」が高い方法で事業を運営することに関心があるか? →これは状況に適応しながら事業推進ができるかどうかのキャパシティ(能力)を見るという観点だ。事業実施主体が、曖昧さや不確実性に対して耐性があるかも確認することが必要である。 |
ステージ3:「学び」と「評価」に対しての準備 評価フィードバックやデータに基づいて、団体内の意思決定を進める準備ができているか? →事業者が、評価者からのフィードバックやデータに対して真摯に向き合えるかの「姿勢」を見るという観点だ。事業者が好奇心や探究心、疑問を持つ力も含まれている。このような姿勢があると、評価を行うことで事業者の「学び」が加速してそれが成果につながっていくだろう。 このステージは1から順に進んでいく必要がある。ぜひ、DEを実践する方は、介入のはじめの段階で事業者にヒアリングを行いながら、これらの内容を確認してほしい。 |
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