評価は「問い」である。『私の伴走評価シート』には、良質な「問い」が多く、事業者への伴走を通して明らかにしていくべきものだ。
『私の伴走評価シート』は、CSOネットワークが『伴走評価エキスパート育成研修』の際に受講生に出している課題シートであり、オリジナル教材・ツールである。これは事務局がDE書籍を参考にしながら、年間かけて評価対象事業を見ることに活用してもらった。『3つの質問』などによる状況把握や日々の事業者とのコミュニケーションを通して、DE実践者として持つべき評価の観点・問いを整理するためのものである。問いが本質的で簡単には答えられないものが多いが、これは事業者への伴走を通して徐々に明らかにしていくという使い方を想定している。状況変化に対応する形や定期的な見直しをおこないながら、バージョンを更新していくという使い方をオススメしたい。
<伴走先団体について> |
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1 |
あなたの伴走先団体が世の中に向けて “成し遂げたい事柄”(※伴走先団体が掲げる“ミッション”に相当)は何でしょうか |
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2 |
その“成し遂げたい事柄”を実現させるための準備として、伴走先団体は自身がどのような状況・状態にいると認識しているのでしょうか |
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(ア) |
あなたはその伴走先団体の認識について、どう考えていますか |
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3 |
伴走先団体が“成し遂げたい事柄”のために掲げている“指針”(※Principleですのでvalueとは異なる点に注意、Principleが無い場合はvalueでも可)は何でしょうか |
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(ア) |
その“指針”は伴走先団体の組織としての行動様式にどのような影響を与えていますか |
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4 |
伴走先団体にはどのような人々が参画しているのでしょうか |
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(ア) |
それらの人々はどのような背景を持ち、どのような考えから伴走先団体に参画しているのでしょうか |
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(イ) |
それらの人々の間で異なる意見・価値観を持った人々がいた場合、それはどのような内容においてでしょうか |
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① |
あなたはそれらの内容が伴走先団体が取り組む“成し遂げたい事柄”に対して、後々に何らかの影響をもたらす可能性があると考えますか |
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<あなたと伴走先団体との関係について> |
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5 |
あなたは伴走先団体のどの部分(ビジョン、ミッション、バリュー、指針、方向性、戦略、取り組み、等々)にどのように関わるのでしょうか |
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6 |
あなたと伴走先団体との間で合意しているアウトプットと伴走先団体が“成し遂げたい事柄”は整合性がとれていますか。 |
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7 |
伴走先団体は伴走評価者としてのあなたに、どのような「評価」を期待していますか |
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(ア) |
あなたは、伴走先団体のどの部分の何を評価するのでしょうか |
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(イ) |
また、(もし(ア)と異なる内容が念頭にある場合)あなたはどのような評価を行う必要があると考えていますか |
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(ウ) |
あなたは、どのような評価内容・結果が伴走先団体のためになると考えていますか |
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① |
そのためにはどのような情報が必要であると考えますか |
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② |
それらの情報はどのように入手する事ができるのでしょうか |
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<伴走先団体の“取り組み”について> |
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8 |
伴走先団体の“取り組み”(※“あなたが介在する事によって、伴走先団体が解決したい・実現したいこと”)は何でしょうか |
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9 |
伴走先団体が“取り組み”の実現のために掲げている“方向性”(※「発展型評価:実践者向けガイド、ページ2参照」、団体によってはビジョンに相当する可能性があります)は何でしょうか |
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(ア) |
その“方向性”はどのように作られたものでしょうか |
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(イ) |
あなたは、その“方向性”について、どのような考えをもっていますか |
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10 |
伴走先団体は自身の「“取り組み”を取り巻くシステム」(※「発展型評価:実践者向けガイド、ページ2-3参照」)をどのように認識しているのでしょうか |
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(ア) |
あなたはその伴走先団体の認識について、どう考えていますか |
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11 |
“取り組み”のために伴走先団体が考えている“戦略と進捗マーカー”(※「発展型評価:実践者向けガイド、ページ4-5参照」、伴走先団体の“取り組み”に対する計画・フレームワーク・ベンチマーク等をイメージしてみてください)はどのようなものですか |
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(ア) |
その“戦略と進捗マーカー”はどのように作られたものでしょうか |
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(イ) |
伴走先団体は、自身が考えている“戦略と進捗マーカー”に基づき、どのような活動をしていますか |
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(ウ) |
“戦略と進捗マーカー”について、伴走先団体は何かしらの評価の観点を盛り込んでいますか |
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① |
それらの内容はあなたが伴走評価者として考える内容と照らし合わせて、十分でしょうか、不十分でしょうか |
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(エ) |
また、“戦略と進捗マーカー”が存在しない場合、伴走先団体はどのように“成し遂げたい事柄”を実現しようとしているのでしょうか |
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12 |
伴走先団体の“取り組み”は、研修初日に触れた「ソーシャル・イノベーション」という観点から、どのように読み取れるでしょうか |
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(ア) |
その場合の「ソーシャル・イノベーション」は具体的に何を差すのでしょうか |
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13 |
(その他、上記項目に当てはまらないけれど記録しておきたい内容がありましたら、このスペースを活用ください) |
研修の際には、本シート活用上の留意点として、以下を示していた。
<本シート活用上の留意点>
・本シートは通年で活用していただきます
・何度でも、いつでも本シートに立ち戻って、振り返り、加筆・修正を行っていただくためのものです
・1回で書ききらず、彫刻を掘り込むように時間をかけて何度も同じ場所を叩いて削って、書いてください
・相手(伴走先団体)が存在してやる事なので、自分のみで一気にやらないようにしてください
・記述内容に加筆・修正を行う場合は、時系列に分かりやすくされる事をお勧めいたします
この『私の伴走評価シート』は使い勝手には課題が残るが、本質的な問いが多いので、ぜひ参考にしていただきたい。