千葉 直紀

事業・活動は、セオリーなしには組み立てられない。このセオリーでロジックモデルと双璧をなすものがセオリー・オブ・チェンジだ。

 「セオリー・オブ・チェンジ」(Theory of Change)とは、ある特定の文脈において、どうやって、なぜ、望まれる変化が起こることが期待されるかについての包括的な説明を図示したものである。「ロジックモデル」と並んで、事業が生み出す変化を描くセオリーである。ToCとロジックモデルは一見似ているが、ロジックモデルが事業単位で描くのに対して、ToCは日本語訳の「変化の理論」の通り、社会の中での団体・事業の立ち位置や他のプレーヤーとの役割分担を描くのに適しているように思う。

 もうひとつToCの特徴として、事業の説明責任の境界線を引くこともあり、「究極的な成果」に対する事業の貢献範囲の線引きを行なうということも特徴である。

描き方の例

①ターゲットを決める。その人の初期状態を描く。

②ターゲットが達成するべき、長期的なゴール(前ページの究極成果)を明らかにする。

③ ゴールを達成するために必要な前提条件(前ページの長期成果)と、その前提条件が必要な理由を明らかにする。

④ 長期成果を達成するために必要な前提条件(前ページの途中成果)を明らかにする。  

⑤望んでいる結果を出すために、どのような介入(アクション)が有効かを明らかにする。

その後、 介入の成果・効果を測るための指標を作り、測定する・・・と続く。

事業推進や評価実践を行うときは、

・社会の中で事業が果たすべき役割を明確にするためにToCを描き、

・その中で具体的な事業についてロジックモデルとともに設計する

の2段階で行うというアプローチもよいだろう。

 今後、DEにおけるToC活用事例を収集して、本稿に加筆を行いたい。

 参考までに、わかりやすくToCを紹介している動画があるのでここに掲載する。

Measuring your social impact: Theory of Change

Theory of Change Explainer