「イノベーター(事業者)に革新を気づかせる存在」、「イノベーターとの共創を行う存在」であるDE評価者は、「団体の『途方もない旅』につきあうフォトグラファー」であり、「ゴルファーのポテンシャルを最大限に引き出すキャディー」のような存在だ。
どんなに優れた事業者でも、自分のことは見えない。行為主体のことを客観視することは、他人だから成せることである。
DEにおける評価者の役割は、【DE実践の『8つの原則』】でも示したように、「イノベーター(事業者)に革新を気づかせる存在」であり、「イノベーターとの共創を行う存在」である。自分のことを客観視してくれること、物事のプロセスや結果をデータで示してくれること、ペースメーカーとして共に歩んでくれることは、事業者に気づきを与え、事業のポテンシャルを引き出してくれるかもしれない。
私の周囲で、DE評価者について的を射た例えをした人たちがいたので、紹介したい。DE評価者のイメージを持ちながら、より良い事業者との関わり方を模索するヒントになればと願う。
「団体の『途方もない旅』につきあうフォトグラファー」(株式会社YOUI 原口唯さん)
“発展的評価において評価者の存在は、例えて言えば「団体の『途方もない旅』につきあうフォトグラファー」。団体が未知の領域にチャレンジしていくことは、ある種の旅と言えると思います。フォトグラファーは、旅の要所ごとに写真を撮影し、団体に対し「私たちは今、こういう場所でこういう状況にありますね」と見せる役割です。行き先が必ずしも明確ではない旅に同行しながら、撮影した写真を見せて事実を知らせ、相手の適切な判断をサポートする。団体がよい旅をするには、こういう存在はやはり傍にいた方がいいですし、役立つと思います。そのためにはフォトグラファーも被写体から信頼されるようになる必要があるし、適切にアドバイスできるスキルが求められます。”(DE実践者インタビュー「DE人物万華鏡」より)
https://www.csonj.org/interview/yui_haraguchi_01
「ゴルファーのポテンシャルを最大限に引き出すキャディー」(NPO法人ETIC. 番野智行さん)*CI(コレクティブ・インパクト)研修にて
コース内やグリーンの傾斜であったり、芝目の読み方などコースの情報を提供したり、風向きやコンディションの情報を提供したり、パターの際に、どのようなラインを選び、どのくらいの強さで打てば良いかを見定めてアドバイスをしてくれるキャディー。ボールを打った後、キャディが走ってボールの落ちた位置を確認しに行き、ピンまでの距離や次に目指したい落下地点までの距離を目測で確認して教えてくれるなど、円滑にプレーするのに必要な役割を果たしてくれる。
ゴルフは特にはじめてのコースでは一人では完結しない。そんなとき、キャディーはプレイヤーに対して、事実(データ)に基づいてコースの狙いどころや距離感などをアドバイスする役割を果たしているのではないか。社会というフィールドでプレーするのならば、全てがはじめてのコースのはずなので、事業者にはまさにキャディーのように事実(データ)に基づいた、その場に必要な情報を、必要なタイミングで提供してくれるキャディーのような存在が必要なのかもしれない。